デザイン塾とは


基本理念   組織,活動,創験   デザイン塾概念図   デザイン塾年表

 

 

■ 基本理念

『デザイン塾』が目指すもの,それは,「デザイン科学の構築」と「デザイン哲学の再生」です.

20世紀までに構築できなかったデザイン科学を構築し,バウハウスの時代には存在していたデザイン哲学を今日的な視点のもとで再生しようというものです.

これにより,デザインが「主体性」を獲得し,本来果たすべき使命を全うすることが可能となると考えます.



今日のデザインは多くの問題を抱えたままとなっています.

例えば,人間社会において未だ精神的価値が充足されていないこと,ますます深刻化している環境問題や安全問題などは周知のとおりです.

そして,これらの本質的な主原因の一つに,デザインの分業化と専門化に伴うデザインの「主体性」の喪失がありました.

19世紀以降に進められてきたデザインの分業化と専門化に伴って,デザインは経済システムに巧みに組込まれ,全体としての「主体性」をなくてしまいました.

そのため,デザイン哲学に基づいた豊かなデザインの実行が難しい状況となっているのです.



では,デザインが「主体性」を獲得するためには,何が必要なのでしょうか?

まずは,分業化・専門化された各デザインに共通の基盤となる統合的なデザイン科学が必要となります.

このデザイン科学の「理論」を用いることで,21世紀の難しいデザイン問題に対して,各デザインを的確に束ねるデザイン統合が可能となるのです.

もう一つは,デザイン哲学です.

哲学に基づく「理念」がなければ,先に示した人間社会の精神的価値の充足や地球規模的な環境問題などに対して,的確なデザインは実行できないでしょう.

つまり,デザイン哲学の「理念」は,デザイン科学の「理論」を適正に活用するために重要な「道標」となるのです.



『デザイン塾』は,この考えに基づき,デザインの「主体性」の獲得に向けた「デザイン科学の構築」と「デザイン哲学の再生」を目指します.

本塾では,これらの目標に向けての議論を通じて,「デザインが果たすべき使命は何か?」といった根源的な問いについても継続的に再考していくつもりです.



 

 

■ 組織,活動,創験

 

『デザイン塾』は,慶應義塾大学が文部科学省から採択された,21世紀COEプログラム「知能化から生命化へのシステムデザイン」における慶應先端デザインスクールの活動の一環として,2004年に,教育と研究の一体型活動の場として創設されました.

本塾の主な対象者は,プロダクトデザイン,建築デザイン,都市デザインなどの様々な専門分野の実務者,教育者,研究者,および学生であり,創設以降,多くの国内外の方々に参加いただいています.



これまでの活動としては,まず,デザイン科学の構築に向けた「デザインの統合化」と「デザインの生命化」の二つのテーマに取り組んできました.

それぞれの創験(創造の実験的試行と兆し),すなわち,デザインに関する理論,方法論,方法に関する研究,およびそれに基づいた作品製作を進めてまいりました.

特に,「デザインの統合化」に関する議論を通じて,さまざまなデザインのフレームワークである「多空間デザインモデル」を提案することができました.



今後は,この「多空間デザインモデル」をフレームワークとして用い,これに基づいたデザイン理論,方法論,方法の研究を進めることで,本塾の目標のひとつであるデザイン科学の構築に向けた活動を推進することになります.

また,「多空間デザインモデル」を基にしたデザイン教育ならびにデザインの理論や方法論を,デザイン実務へ適用していきます.

さらに,もうひとつの目標である「デザイン哲学の再生」にも着手し,それに向けた啓蒙活動も推し進めていく必要があると考えています.

 

 

  デザイン塾概念図



■ デザイン塾年表