デザイン行為

designing

 

デザイン行為は,デザイン知識を活用したうえで行われる,“デザイン理論に基づく思考”,“デザイン方法論に基づく思考,“さまざまなデザイン方法の活用に関する思考”,“さまざまなデザイン実務”など,デザインに関わるあらゆる行為を包含するものである.ここでは,デザイン行為に関する四つの階層について,その詳細を述べる.

 

■ デザイン行為の四階層

デザイン実務(design practice)の階層には,プロダクトデザイン(product design),建築デザイン(architectural design),情報デザイン(information design)など,多様なデザイン分野における具体的な実務が含まれる.

このような,多くの領域へのデザインの細分化は,高機能化や高効率化というメリットをもたらしたものの,デザイン情報の共有化や協調デザインの難しさというデメリットももたらした.

デザイン方法(design method)の階層には,定性的データを活用するものから定量的データを活用するものまで,研究段階のものから実用段階のものまで,多様なデザイン方法が含まれる.

現在,さまざまなデザイン方法が存在し,実務における多くの事例に対して適用されている.

しかし,これらのデザイン方法の適切な活用に向けた体系的な視点,すなわち,デザイン方法論的視点に関する研究は,今後のさらなる展開が必要である.

デザイン方法論(design methodology)の階層には,多様なデザイン方法を体系的に把握するための方法論的枠組みに関する知見や,多様なデザイン方法の取捨選択に関する知見が含まれる.

デザイン方法論は,さまざまなデザイン方法を適用対象や目的に応じて適切に選択するための指針を与えてくれるものと捉えることができる.

そのため,デザイン方法の適切な活用に向けた体系的な視点に基づく枠組みの構築が肝要となる.

デザイン理論(design theory)の階層には,さまざまなデザインにおける一般性を記述可能な理論が含まれる.

デザイン理論とデザイン方法論の主な違いは,“魅力的なデザインを行うための方法論”,“効率的なデザインを行うための方法論”といった,枠組みを構築するうえでの目的の有無にあるといえる.

デザイン方法論には目的の存在が不可欠であるが,デザイン理論にはその必要性がなく,純粋に,デザインに関わる現象を記述することのみを前提としている.