DfX

design for x

 

ここでは,製品デザインの全体的なプロセスをデザイン上流段階において可能な限り検討し,デザイン下流過程における後戻りの減少や生産における品質向上を目指すDfXの考え方や具体的な方法について述べる.

 

■ DfXの概要

デザインフォーエックス(Design for X: DfX)とは,デザインの上流過程において,製品のライフサイクル全体を通じ想定されるさまざまな課題を検討するとともに,デザイン下流過程における後戻りを極力減らすべく,各々のデザイン行為において有効と考えられる個々のデザイン方法(DfXのX)を投入していくデザイン方法論のことである.

DfXの具体例としては,“リサイクル性を考慮したデザイン(Design for Disassembling: DfD)”,“生産性を考えたデザイン(Design for Manufacturing: DfM)”,サービス性を考慮したデザイン“(Design for Service: DfS)”,“環境性を考慮したデザイン(Design For Environment: DfE)”などが挙げられ,Xはデザインにおける評価項目のようなものとして位置づけることができる.

なお,DfXは製品によってアプローチの仕方が異なり,ある特定の製品(Y)に関するDfXのことを,“DfX of Y”と記述することがある.

DfXでは,デザインの下流過程に行くほど重要性が増していく検討項目を,デザインの上流過程から明確化していくことが肝要となる.

しかし,一般に,製品が満足すべき評価項目Xは多領域にまたがるものであるため,デザインが対象とする製品の開発が大規模,複雑化していくことが想定される場合,デザインの上流過程において的確にXを盛り込んでいくことは難しく,さまざまな方法論上の工夫が必要である.

また,DfXは,デザイン過程を逐次的ではなく重複させるかたちで進めていく“コンカレントエンジニアリング(concurrent engineering: CE)”との関連性も深く,DfXのための有効な方法として,品質機能展開(quality function deployment: QFD)やタグチメソッドなどが挙げられている.